2018/02/21 (水)

わたしは今、格好のつかない風邪を引いている。つまりは、ただの風邪を引いている。インフルエンザだったらまだしっかりと休めて、しっかりと気にかけてもらえるけれど、ただの風邪だから、ただいつもより少し遅く起きて、ただいつもより優しいご飯を食べて、ただいつもよりあまり動かずに過ごした。

そうやって休日の半分を終えたところで、ただの出不精に思えてきて、散歩に出た。ただ、いつもより目一杯の厚着をした。

すっかりと昏黒だったから、眼鏡をかけていないのに信号が見易いな、なんて茫と思っていたけれど、ずっと黄色信号だと思って見ていたものはそういう色の街灯だった。

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CD屋に寄って、くるり / その線は水平線 を買った。ジャケットの写真は奥山由之さん、とても好き。とっくに日は暮れた今日でも好きに夕日を沈められる仕様、にはわたしがしたから、申し訳ないけれど夜も朝も構わず沈めたい日には沈めていきたい。

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好きばかりが並ぶこの流れ、至極心地よいね。波のたゆたいのようだね。

2018/02/14 (水)

起きしなに、「今日は風が多いな」と感じた。窓の微量な動きを認めたので、きっとそうだと思った。

無論、風吹き荒ぶ中、借りたdvdを返すべく歩いた。直前まで観ていた「夜は短し歩けよ乙女」のワンシーンに、風に吹き飛ばされそうになりながらも歩く黒髪の乙女がいて、不覚にも重なったけれど、彼女は快活で髪が短く酒豪でわたしとは正反対なのだった。不覚なそれは風速14メートルで吹き飛ばされた。

昏黒前、友人とフルーツパーラーへ赴き、パフェを食べた。季節のパフェを注文して、パフェが来る前に御手洗を済ませておこうと、席を立った。

手を洗う際に、ハンドソープを適量、手に取る。よい匂いだ とふとパッケージに目をやると「フルーツの香り」と書かれている。

ああ、このフルーツパーラーは抜け目がないな と感心して、きっとパフェは来ていないだろうしまだ食べていないけれども美味しさを洗面所にて確信し、席に戻った。友人を置いて一人抜け駆けで確信してしまったことに申し訳無くなったけれど、結局、私のパフェも友人のパフェも至極美味しかったのだから、それはもうどうでもよいことだった。

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風とパフェに関してはそれぞれのそれぞれを先に確信してしまって、手品のタネを見破ったときのように、風とパフェには落胆させてしまったかなあと思ったので、この日記を懺悔とする。

2018/2/11 (日)

ちっとも予定のない休日の、クタクタに布団と一体化する午前中らしいこの体たらくに鞭打って分裂、取り敢えず散歩に出た。

家のパソコンでやらなければいけない作業は家から溢れるほどにあるのだけれど、皮肉にも家にいては進まないから、困却の末いつも散歩に縋る。

来週の休日は全て予定を詰め込んだから、困らずに済むし、散歩を頼らずに済むし、非日常はよい刺激になってくれる。家にこもってばかりいてはだめだね、家はあまりにも日常過ぎるから、安堵する他なくて気が狂うよ。だから私はよく断捨離をする。違和がよい非日常になってくれて満足する。

家には確かに何かがたゆたっている、自分を守るもの、自分を安堵させるもの、自分を自分たらしめるもの、それには用法用量が決められていて、過剰摂取した途端に有害、何処からともなく漂ってくる不穏なけむたい倦怠、吸い込んだら駄目、換気をしてください、外に出てください、過剰な安心に蝕まれないよう今すぐ散歩に出てください。

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2018/02/02 (金)

今日は、演劇鑑賞すべく渋谷へ赴いた。
青柳いづみの絶叫と、川上未映子の少女の、生々しい内側をみた。

"先端で、さすわさされるわそらええわ"
音響、照明、映像、衣装、大道具、小道具、川上未映子の少女たち、青柳いづみの声、目線、曲線、一挙手一投足、肌、息継ぎ、すべての起伏の線は烈しく、その線の丸みに添われたと思った途端、矢庭に鋭利な先端に長い間刺され続け、瀕死寸前のところをまた丸みに救われる、まさしくその劇場は激情であった。

"すべて真夜中の恋人たち"

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「なんでもないのに、涙がでるほど、きれいです」そういうことが幼少期からよくあって、日常的に人知れず涙を堪える。だから、厄介な情緒不安定に思われるのだが、父親はよく私に「悲しいのか」と聞いた。何故悲しいと決めつけるのかよく分からなかった。当時の私は、私の日常が皆の日常だと、まだ信じきっていたからだった。

だから私は今日、青柳いづみが下手から出てきた瞬間に泣き、長科白の後のハアという息漏れに泣いた。

涙をほったらかしにして見入ったせいで、唇を舐めたらしょっぱい。だから、目と唇の間に流れる二本の川もきっとしょっぱい。きっと、海は近いのだろう。鹹味によって自分の末広がりを信じようと思った。

様々な起伏を自分のオシロスコープでみた、みえた、みることが出来た。感情の起伏をありがとう、と、最近すべてのものに思うよ、ありがとう。

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2018/01/26 (金)

遅ればせながら、‪People In The Box / Kodomo Rengou を購入した。

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昨年の誕生日に友人から頂いたポータブルcdプレイヤーで、期待値を0以下にして、しゃがみながら聴いた。

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正直あまりにもよい。4曲目あたりでぐったりとした。いちいち満ちているから、よさを受け止めるべく、溢れないように、升の中にグラスを置いて日本酒を並々注ぐもっきりスタイルのように、私の表面張力を必死に保ちながら、聴いた。

よいもの‪を手にする度、二度と触れるものかと葬ってしまいそうになる、それはジェラシーだよ。でもまた丁寧に拾い上げては忘我の境地に自らが葬られてしまう。恐ろしい、酒なんかより、よっぽど合法麻薬だ、ありがとう日常のドーピングをありがとう、きっとねやめられないよ。‬

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2018/01/23 (火)

変わったね、変わっちゃったね、と言うので、
変わらせてよ、何者でもないものになって、そしたら何者にだってなれるのに、と言いました。

貴方が事実だと信じてやまなかったものが虚構だったり、それは裏切りだったり、常だと思っていたものも、気付かれないように変動する地形のようで、微々たる差異を勿体ぶったり、開けっぴろげにしたり、諸行無常の響きはあるよ、"常" にあるよ。

SF小説を読んだ後にシュールレアリスムの絵画を鑑賞した時くらい錯乱、それをよく理解できなくてごめんなさいと、脳みそが申し訳なく萎縮したのでしょうか、頭痛がします。

損したな 損したな
https://youtu.be/B49H7M7E3-A

2018/01/21 (日)

東京とはなんだ、どうして皆んな東京に群がるの、飢えた獣のように何を生かして何を排斥しようとしているの、私が今やっていることは東京でなくても出来るはずなのだけれど、

東京に関わっていたいだけなのかもしれないね、きっとね、他人の憧れに便乗して、この夢の溜まり場で、肖ろうとしているのかもしれなくて、嫌われる価値も実は無くて落胆するがしかし、原石の、さらに原石ほどの野望を持っているならきっとその為の東京だ。

‪もう自分を人見知りと自称するのはやめよう、それを免罪符にして他力本願に、相手に配慮させるのは非常に卑しいことだ‬よ。

近状、人に手紙をしたためている、先輩や誕生日の友人へ、そのついで、余った紙に切れ端に似た言葉並べては日記の真似事をして、日々を思っている。

絵空事が好き、夢想が好き、幻想小説が好き、他人が見た夢の話が好き、近頃、そんな映画や小説をたくさん観て、読んだ。

大林宣彦監督の「花筐」、映画は芸術だと実感する、

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これは、此間購入し、とてもよかった本、

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これは、今欲しい本、

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出先で時間潰しに何とは無しに入った本屋で、本棚を、絵画を鑑賞するように見て、歩き方も、美術館を歩くように、のたりのたりと歩いて、ふと目に留まった本をハラハラめくって本の匂いだなあなどと思っていたら「自由は大変だ」という文字だけが急に飛び出てきた、知らない人の、知らない本に、戒められた、逃げるように本屋を出た、東京からも逃げ出しそうだった。