光、線
希望以外の光、のようなもの を見た。大衆は笑みを絶やさなかった。私もそうであったかもしれない。大衆になりきろうとしていたので。
可視的に希望以外の光、線は非常に鋭利な爪であるので 奥を撫でるように突く。爪が二時を指す。帰る。
丘上都市、低みから高みへ、繰り返し 繰り返した。隣の彼女はやはり笑みを絶やさなかった。優しいんだね、丘の上に丘がある。
低みから低みへ、また希望以外の光だ!
これは先輩となんとなくイルミネーションを見に行ったときの日記
外みたいな内と床みたいな私
正月、天井みたいな床に、いつか見た床みたいな壁に想いを馳せて、仰臥することに明け暮れていた。所在無く一枚の板になりそうだったので、精一杯歩いたが、足元のことばかり思うあまり、ついに理想の散歩には成り得なかった。(悲しい)
友人との邂逅に怯えつつも期待し、身を翻した先で安堵した。そこは書店だった。
その孤独と安堵目まぐるしく、さながら吹雪く外界のようだった。つまり私は全てが外になっていたのだった!どこに行っても外ならと、そこから出発し続けた。出続けた瞬間に孤独から解放された気がした。さて私は外であり続けようと思う。(今年の抱負)
人肌の温度ぐらいの一日
朝方からずっと不規則な間隔をもって家が小刻みに揺れている
テレビの調子が悪くこれもまた不規則な間隔をもって画がざらついている
不安な律動の中で、午後、手紙をしたためていた
健康かと尋ね、わたしは健康だと勝手に答えたが実のところ今風邪を引いている
手紙は問わず語りをしているようだ
夕方に仮眠をとったのだが懲りずにまた眠い、夜に順応しすぎだ
伸びた前髪の間から細かく断片的に世界を見た
小さくて浅い瓶に花の写真を丸めて差した
きっと年末年始は実家に帰らない
夜はネオン色
夜は、わたしに同期してゆれていた、見えない手元の虹までも
流行りの顔たち、みんな桃太郎飴みたいだな、なんてことを雑踏の中で思う
冬を忘れるように朝を忘れたら本物の夜だよ、昨冬は、夏のことなどすっかりと忘れていたから越せたのだと思う、今夏のことは上手に忘れることが出来るだろうか
四季も一昼夜も曖昧に成立しているのだから、私たちが曖昧に成長していくのは仕方のないことだ、私たちはその歪みでちゃんと変形できている気がする
つづかないということ
近頃 宇宙について考える 考えてしまう
考えども考えども 考え尽きることがない
どこまでも続き過ぎていることに 脳みそが追いついていかなくて あたまが後ろに落っこちそうになる なぜならわたしはどこまでも続かないから
永遠は強大で 今にも吸収されてしまいそうだと いつも畏怖している
何光年も続いていることに 畏敬の念を抱いている
宇宙に怯えていながらも それにわたしが含まれていること どうしてもわからない
いったい地球はいくつあるのか 知ったわたしは きっと知らなかったわたしを 見下すに違いない
わたしがいつまでも続かなくて わたしがいくつもなくて ほんとうによかったと思う
詩集を開くと いつだって元気が出た
今日は風が多い
風のような音楽を聴くが 外のに負けている